こんにちは。光学、光でのお困りごとがありましたか?
光ラーニングは、「光学」をテーマに様々な情報を発信する光源を目指しています。情報源はインターネットの公開情報と、筆者の多少の知識と経験です。 このページでは、Zemaxホームページで公開されている技術記事、Understanding Sobol sampling (Zemax技術記事、英語) を短くまとめます。記事には記載されていない仕様も説明します。
このページの使い方
技術記事(ナレッジベース)は、OpticStudioを深く知るうえで非常に有用ですが、有用な記事ほど長くなってしまいます。書かれている内容をざっと把握して、「この記事に知りたいことが書いてある!」と感じることができれば、ぜひ記事にアクセスして詳細を確認してほしいです。
「ソボルサンプリングの理解」まとめ
- OpticStudioノンシーケンシャルモードの光源オブジェクトには、光線のサンプリング(生成)方法として、「ランダム」と「ソボル」の2種類がある。
- 「ランダム」は乱数を発生させて光線を生成する。「ソボル」は完全な乱数ではなく、以前に生成した光線に近づきすぎないように次の光線を生成する。
- ソボルは、ランダムで発生する光線の粗密が避けられるので、ノイズによるザラザラが抑制される。
- 光線数が少ない時と、非常に多い時に、ソボルとランダムの結果は近くなる。
- ランダムのSNR=√N、ソボルの時はSNR=Nに近づく。
- Nは1ピクセルに入射する平均光線本数。
- ランダムは光線本数を増やしてもノイズが減りにくく(平方根がかかってしまう)、ソボルは光線本数を増やした時のノイズ低減効果が大きい。
以下は、技術記事には取り上げられていないですが、ヘルプファイルには記載されている使用上の重要ポイントになります。
- ソボルサンプリングは一度生成した疑似乱数を使い続けます。そのため、レイアウト図(シェーデッドモデルや3Dレイアウト図)を更新しても、表示される光線は変わりません。また、複数回光線追跡を実行しても同じ光線が追跡され、ビューアでみる結果もメリットファンクションのNSDDオペランドの結果も変わりません。
- ランダムはレイアウト図を更新したとき、また光線追跡を実行したときに異なる光線群が使用されます。よって、レイアウト図で光線の振る舞いを何パターンも確認したい場合、光線追跡を何回も実行して実際の光線本数を増やしたい場合は、光線のサンプリングにランダムを使います。
- 日本語のヘルプファイルは、「Sobol」と記載されているので、「ソボル」で検索してもヒットしません!
所感
この技術記事は、ノンシーケンシャルモードの光源オブジェクトの光線をサンプリングする方法を紹介した記事です。ソボルサンプリングは、光線のサンプリング方法でディテクタのノイズを抑制してくれる大変ありがたい機能です。だた、光源オブジェクトのソボルサンプリングはデフォルト設定のため、この機能はあまり知られていないかもしれません。基本的には、ソボルが使えるならソボルを使っていればOKですが、レイアウト図での確認時などランダムが役に立つときもあります。
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