こんにちは。光学、光でのお困りごとがありましたか?
光ラーニングは、「光学」をテーマに様々な情報を発信する光源を目指しています。情報源はインターネットの公開情報と、筆者の多少の知識と経験です。このページでは、2021/9/13~9/17に発表された光学関連のニュースを取り上げ、OpticStudioとのつながりや、筆者の個人的なコメントを加えます。参考にしているページは、オプトロニクスオンライン、Optics.org、Laser Focus Worldなどです。
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ソニー,イベントベース方式の画像センサーを発売
ソニー,イベントベース方式の画像センサーを発売(オプトロニクス)。ソニーは、被写体の変化のみを検出することができる、2タイプの積層型イベントベースビジョンセンサー「MX636」と「IMX637」を商品化します。画素の輝度変化を非同期で検出し、画素の位置(xy座標)および時間の情報と組み合わせてデータ出力できます。さまざまな用途に対応するため、Prophesee社が開発した不要なイベントデータを除去する複数のフィルター機能を搭載しています。
業界最小 4.86 μm角画素を実現した被写体の変化のみを検出する積層型イベントベースビジョンセンサー 2タイプを商品化(ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社)。イベントベースビジョンの技術的な概要については、同じくソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社のこちらのページ が大変分かりやすいです。オフセット除去をセンサ側で処理するイメージでしょうか?カメラの高性能化(解像度、ダイナミックレンジ、フレームレート)が急速に進む中で、取得した膨大なデータを送り出す通信環境、そのデータを処理する演算マシンパワーへの負荷も大きくなっています。データの取捨選択をセンサ側で前処理することは、センサ性能の向上以外にも大きなメリットをもたらしそうです。ソニーのセンサ関連のニュースが続いています(ソニー,LiDAR向け積層型SPAD距離センサー発表)。今後もセンサ技術の発展、特にアプリケーションに注目したいです。
エドモンド,光吸収ホイル&フィルムを発売
エドモンド,光吸収ホイル&フィルムを発売(オプトロニクス)。エドモンド・オプティクス・ジャパンは,UVからIRまでの迷光や不要な反射を低減するイスラエルAcktar製「光吸収ホイル&フィルムロール」の販売を開始しました。Acktarは、光学システムにおいて迷光や不要な反射の除去に最適な黒色光吸収材のメーカーです。
マシンビジョンなどの撮像系、露光機やプロジェクタなどの投射系のどちらも、迷光の処理には苦労しています。光を散乱させて目立たなくさせるか、光を吸収してしまうか、レンズのコバやメカ部品の表面処理をどうするかは、結像性能を追いかける光学設計とは別のむずかしさがあります。筆者がAcktar社製品に興味を持った時は、比較的強い光を終端する用途でした。ホームページは日本語も選択できて、ありがたいです。これはぜひ光学ソフトウェアでも設定したくなります。Acktarのこちらのサイトでは、Zemax、TracePro、FRED、ASAPが反射特性をライブラリに追加している、とあります。これは、OpticStudioでは最上位エディションでアクセスできる機能、ISライブラリからダウンロードできることを指しています。BSDFファイルとかで公開されていればうれしかったですが、仕方ありません。
タムロンら,広角撮影が可能な眼底カメラを開発
タムロンら,広角撮影が可能な眼底カメラを開発(オプトロニクス)。タムロンと奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)は、広角撮影が可能な眼底カメラを開発したと発表しました。株式会社タムロンのプレスリリースはこちら。本研究成果を、2021年9月13日に開催された「第82回応用物理学会秋季学術講演会」において「超広角近赤外カラー化眼底カメラの開発」の講演題目で発表しました、とあります。
眼底カメラの撮像角度は、眼球の中心から測定するようで面白いですね。180度とは、眼球の内側半分を撮像範囲としてカバーすることを意味しています。光学設計の観点で、これを実現しているのはタムロンの超広角の設計技術とのことです。OpticStudioとcodeVでは、特に視野角が180度に迫る超広角レンズにおいて、codeVに有意性があるといわれています。特にシーケンシャルモードでは、物体面から入射瞳に主光線を通すところが難しいと思われます。超広角レンズの場合、近軸の入射瞳と実際の入射瞳のずれが大きくなるためです。どちらのソフトウェアも進化していってほしいです。
ギガフォトン、新たなエキシマレーザ製造施設を建設
Gigaphoton to build new excimer laser production facility (optics.org)。ギガフォトン株式会社は、エキシマレーザの供給能力を強化するために2022年4月までに新しい施設を建設し、2023年までに現在の2倍とする計画を発表しました。ギガフォトン株式会社のプレスリリースはこちら。
optics.orgのページによれば、エキシマレーザは極紫外 (Extreme Ultraviolet) の最新リソグラフィツール用の光源ではないものの、その他の多くのプロセスで使用されている、とのことです。昨今の半導体デバイス需要の高まりを受けて、積極的な設備投資が進んでいるようです。短波長化、高出力化が進む中で既存技術・既存製品が広く使われるようになりそうです。
Jenoptik、ドレスデンでのマイクロオプティクスの生産能力を増強
Jenoptik to boost micro-optics production in Dresden (optics.org)。イエナオプティクスは、ドレスデンに新しい生産施設を建設し、半導体機器に使用されるマイクロオプティクスとセンサーの生産能力を2倍以上にする予定であると述べています。ここで製造された製品は、最先端の極紫外線(EUV)および深紫外線(DUV)リソグラフィ装置向けとなります。
こちらも半導体デバイス需要へ対応した、大型投資となります。大きなところだと、クリーンルームの建設に7000万ユーロが投じられる予定です。半導体特需の今後の動向に注目です。
まとめ
このページでは、2021/9/13~9/17に発表された光学関連情報から、国内3件、海外1件を取り上げました。筆者の知識レベルで取り上げられるネタは制限されますが、これからも気になった情報をご紹介したいと思います。
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