[91] 光学ニュースピックアップ (2022年5月)

光学ニュースピックアップ

光ラーニングは、「光学」をテーマに様々な情報を発信する光源を目指しています。情報源はインターネットの公開情報と、筆者の多少の知識と経験です。このページでは、2022年5月に発表された光学関連のニュースを取り上げ、OpticStudioとのつながりや、筆者の個人的なコメントを加えます。参考にしているページは、オプトロニクスオンライン、Optics.org、Laser Focus Worldなどです。

自動車関連 1 件

SiLC’s chip-scale lidar selected for Chinese robotaxi fleet (optics.org)

カリフォルニアを拠点とするLiDARのスタートアップSiLC Technologiesが、中国のロボタクシー開発のAutoXとチップスケールFMCW LiDARセンサ使用契約に合意しました。AutoXは「Eyeonic」というビジョンセンサで距離と速度の両方を取得して、「レベル4」の自動運転を目指します。LiDARのチップ化による小型化、移動体の速度も検出する4D化は、LiDARの中心となるでしょうか。

SiLCは、AutoX以外では、FMCW LiDARの産業アプリケーション展開を見据えて、日本の北陽電機との戦略的コラボレーションに合意しています。光学ニュースピックアップ (2021/9/27~10/1) を参照してください。

図 91-1 AutoXの「Eyeonic」FMCW LiDAR ユニット。小さい。

デバイス関連 2 件

日機装ら,鉄道向けLED除菌ユニットの開発を開始 (OPTRONICS)

ウシオ,広範囲向け抗ウイルス・除菌用光源を発売 (OPTRONICS)

日機装と古河産業は、深紫外LEDを活用した除菌ユニットを鉄道車両向けに開発を開始したことを発表した。「開発の開始」の発表で、リリース予定は近畿日本鉄道の新型一般車両への搭載を目指すということで、明確な日程は分かりませんでした。システムとしては、室内の空気を装置内に吸い込み、LEDで清浄化した空気を放出する仕組みです。もちろん、様々なシーンへの展開が期待されます。

ウシオ電機は、紫外線照射装置Care222 iシリーズの新ラインナップとして、広配光タイプを発表しました。光源はエキシマランプです。本リリースでは、有人環境での常時点灯が可能になりました。こちらは空間に向けて紫外線を照射するタイプで、日機装のシステムとは異なります。環境や目的に応じて、様々な光源開発が必要になりそうです。

新製品関連 2 件

アストロデザイン,色域評価システムを発売 (OPTRONICS)

東芝ライテック,LED空間除菌・脱臭装置を発売 (OPTRONICS)

アストロデザインがリリースする色域評価システムは、日本放送協会と協力して、NHK放送技術研究所が考案した色域表現である、Gamut Ringsに対応しています。Gamut Ringsについては、光学ニュースピックアップ (2022年2月) を参照してください。OpticStudioを始めとした、光学ソフトウェアでもGamut Ringsに対応した解析ツールに対応するのでしょうか

東芝ライテックの空間除菌装置「UVish」シリーズは、UV-C LEDとUV-A LEDを採用した換気型の除菌装置です。それぞれ、除菌用途光触媒用と目的が異なります。空気清浄機も今後、様々な機能や特性が追加されていくものと思います。そして、各機能で場所や電力を取り合うことになりそうです。

研究関連 6 件

KDDIら,ホログラフィーのカラーアニメ化に成功 (OPTRONICS)

CEA LETI develops lensless low-cost microbial identification device (optics.org)

島津,水中光無線通信が脱炭素プログラムに採択 (OPTRONICS)

JAMSTECら,水中光無線で観測データを自動回収 (OPTRONICS)

三菱,受信方向を検出する宇宙光通信用光受信器 (OPTRONICS)

DARPA and CACI demonstrate optical satellite links (optics.org)

KDDI総合研究所と関西大学が開発したホログラムのカラー化技術は、計算機合成ホログラム(CGH)に従来よりも多くの情報を記録し、再生光との組み合わせを最適に設計することでアニメーション化を実現しています。究極的にはCGHそのものがリアルタイムで書き換えながら立体像をリアルタイムで再生する世界と思いますが、それに向けた重要な一歩であることを期待しています。

CAE LETI が開発するレンズフリーの微生物識別装置は、光学顕微鏡よりも大幅に低コスト(1/10)で、厳しい環境下でも使用できます。原理はよくわかっていませんが、近赤外LEDが微生物によって回折され

、CMOSにホログラフィックパターンが記録されます。ホログラフィックパターンは人工知能ベースの再生アルゴリズムによって観察対象が再生されます。これも、OpticStudioには手が出せない領域ですが、ぜひ実用化に向けて進んでほしいです。

島津製作所が開発している水中光無線通信が2021年に続き、「海洋石油・天然ガス分野における脱炭素化等推進に係る日本財団-Deep Star連携技術開発助成プログラム」に採択されました。下のニュースと併せて、光ラーニングは光無線通信にこれからも注目したいと思います。

JAMSTECと島津製作所の共同研究で、1420mの海底での測定データを、自律航行+光無線通信により回収しました。今回は10秒間通信で130KBでしたが、これは世界初の事例とのことです

三菱電機の宇宙光通信技術は、光通信の技術と受信方向検出機能を統合した受信器を開発しました。用途は宇宙に限らず、地上のビル間や災害復旧用途、飛行機などの移動体との通信が考えられます。4分割PDで受信ビームの入射角度を検出する方法はよく使用されていますが、この受光部が通信も同時に担当します。

DARPAとCACI Internationalは、低軌道における宇通光通信リンクの実証に成功しました。今回の実証は、Mandrake II プログラムの一環として行われ、ポインティング、捕捉、追跡アルゴリズムの評価が目的でした。やはり、光空間通信 (FSO, Free Space Optics) 最大の課題は通信リンクの確立と保持なのでしょうか。三菱電機の技術との距離感はどの程度のものか気になります。

CACIは2021年11月にSA Photonicsを買収し、SA Photonicsが開発したCross Beam端末を使用しています。通信時間40分で、200Gビットの通信を行いました。このシステムの優れているところは、複数衛星や地上局とを複雑に通信するコンステレーション形式です。

図 91-2 衛星コンステレーションのイメージ図。同じようなシステムをSpaceXも打ち出している。

まとめ

このページでは、2022年5月に発表された光学関連情報から、11件をピックアップしました。筆者の知識レベルで取り上げられるネタは制限されますが、これからも気になった情報をご紹介したいと思います。ちょこちょこと、過去に取り上げたニュースの更新情報が得られるのも興味深いです。

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