[14] 光学ニュースピックアップ (2021/8/23~27)

光学ニュースピックアップ

こんにちは。光学、光でのお困りごとがありましたか?

光ラーニングは、「光学」をテーマに様々な情報を発信する光源を目指しています。情報源はインターネットの公開情報と、筆者の多少の知識と経験です。このページでは、2021/8/23~8/27に発表された光学関連のニュースを取り上げ、OpticStudioとのつながりや、筆者の個人的なコメントを加えます。参考にしているページは、オプトロニクスオンライン、Optics.orgなどです。

ピックアップ記事 5 本

日亜、人にやさしい照明を共同開発

日亜、人にやさしい照明を共同開発(オプトロニクス)。日亜化学工業がオーストリアZumtobelが共同開発した、ZUMTOBEL Spectrum を発表しました。ヒューマンセントリックライティングをテーマに掲げており、LEDをより自然光に近づけていくとのこと。

広く普及している白色LEDは、青色LEDと、青色を吸収して黄色の蛍光を放射する蛍光体を組み合わせており、色の分布が青色と黄色に偏っています。日亜化学工業のOptisolisTMのサイトによると、色の分布が青から赤の全体に拡がっています。これによって、自然光=太陽光に近い光としているようです。残念ながら、光線データはLightTools用しか公開されていないので、OpticStudioに簡単に取り込むことは難しそうでした。

スタンレー、深紫外LED搭載空気除菌脱臭機発売

スタンレー、深紫外LED搭載空気除菌脱臭機発売(オプトロニクス)。スタンレー電気は、265nmの深紫外LEDを搭載した新製品「AℓNUV_AirP」を8/25に販売を開始します。同製品には、365nm UV-A LEDも搭載されています。

昨今のコロナ対応への需要の高まりを受けて、深紫外光源の採用が増えているようです。OpticStudioは任意の波長を入力できるので光源の設定は簡単ですが、300nm以下の波長まで取り扱えるガラスデータは多くありません。モデルガラス機能を使って屈折率を決め打ちするか、オリジナルのガラスデータを作成する必要があります。ガラスメーカからデータが広く公開されるとうれしいですね。

カシオ、プロジェクターの「組込領域」事業を開始

カシオ、プロジェクターの「組込領域」事業を開始(オプトロニクス)。カシオ計算機は、プロジェクションモジュール「LH-200」を発売し、小型プロジェクションによる「組込領域」の事業を開始します。光源はレーザとLED、明るさ2000ルーメンで、解像度は1280 x 800です。スマートファクトリー分野で沖電気工業の「Manufacturing DX」、マシンビジョン分野で東京エレクトロンデバイスの「TriMath」で利用されています。

LH-200のリーフレット によれば、「カシオ独自のハイブリット光源」のワードとともに、RGB光源のイメージ図が掲載されています。赤色が独立しているので、従来の黄色蛍光体から赤色と緑色を分割する方式ではないです。おそらく、青色レーザ、赤色LED、緑色蛍光体で時分割投射しているものと思われます。特許などを調べれば、より詳細なシステムが分かるのかもしれないです。プロジェクタは結像系と照明系が組み合わさったシステムなので、シーケンシャルモードとノンシーケンシャルモードの両方が必要になります。最近は、DLPで発生する回折による迷光への対応も検討され始めているようです。

コロナ患者トリアージに向けた血液分校検査の可能性

Blood spectroscopy test shows promise for Covid-19 triage (optics.org)。インド(インド工科大学)とオーストラリア(クイーンズランド医科大学)の研究者は、フーリエ変換赤外分光計による簡便な血液検査で、コロナ感染症が重篤化するかもしれない患者を特定できる可能性を示しました。

報告されたテストのサンプル数は160で、精度や裏付けに関する検討にはまだ時間がかかるようです。記事では、高額な検査体制を整えることが難しい医療現場での利用が期待されています。なお、本記事は英語で、筆者に誤解があるかもしれません。コロナ関連の情報は常に信頼性を確認するようにしましょう。

ガスマッピングLiDARでメタン漏れ削減

SoCalGas firm to use gas-mapping LiDAR to cut methane leaks (optics.org)。米国最大手のガス配給会社 Southern California Gas Company (SoCalGas)は、Bridger Photonics の空中メタン漏洩検知ソリューションと1200 万ドルの契約をしました。LiDARを搭載したヘリコプターで供給エリアを飛行して、漏洩している場所のデータをGPS座標で提供します。

LiDARを光学シミュレーションでモデル化する場合、難しいのは測定対象の散乱特性と、周辺環境の体積散乱でしょうか。メタンガスを検出する場合は、漏洩しているメタンからどのくらいの光が戻ってくることを想定して検出レベルを設定しているのか気になるところです。

まとめ

このページでは、2021/8/23~8/27に発表された光学関連情報から、国内3件、海外2件を取り上げました。筆者の知識レベルで取り上げられるネタは制限されますが、これからも気になった情報をご紹介したいと思います。

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