[18] 光学ニュースピックアップ (2021/8/30~9/3)

光学ニュースピックアップ

こんにちは。光学、光でのお困りごとがありましたか?

光ラーニングは、「光学」をテーマに様々な情報を発信する光源を目指しています。情報源はインターネットの公開情報と、筆者の多少の知識と経験です。このページでは、2021/8/30~9/3に発表された光学関連のニュースを取り上げ、OpticStudioとのつながりや、筆者の個人的なコメントを加えます。参考にしているページは、オプトロニクスオンライン、Optics.org、Laser Focus Worldなどです。

ピックアップ記事 3 本

Ansys、Zemaxを買収して光学ソフトウェアポートフォリオに追加

Ansys adds to optical software portfolio with Zemax deal (optics.org)。2018年にZemaxを買収していた EQT (スウェーデンのプライベートエクイティファンド) が、ナスダックに上場している Ansys に Zemax を売却することで合意しました。取引は2021年の第4四半期 (2021年10月から12月)に完了する予定です。Ansys は2018年にフランスのOPTIS、2020年にLumericalを買収しており、光学シミュレーションソフトウェアの体制強化を推し進めています。

光学シミュレーションソフトウェア業界の動きが活発です。先日、CODE V、LightToolsをはじめとするSynopsys Optical Solution社は日本代理店のサイバネットシステム社との代理店契約を、2021年10月1日付で終了すると発表しました(シノプシスオプティカルソリューション社ページ)。これも光学エンジニアにとっては大きなニュースでしたが、さらにAnsysのZmeax買収となりました(Ansys社ホームページ) (Zemax社ホームページ)。両社の強みを融合することで、光学・フォトニクス製品の開発に対して、包括的なソリューションを提供できるようになるとのことです。技術的な補完関係やシナジーへの期待については異論はありません。ユーザとして直近で気になるのは、値段はどうなるん?というところだと思います。少なくとも、最終合意になるまでは注視する必要がありそうです。

Topticaのガイドスターレーザがフィールドテストに合格

Toptica guide star laser passes field test (optics.org)。Toptica Photonics がミュンヘン西部の天文台での試験で、高出力レーザで生成したガイドスターが地上宇宙望遠鏡で撮影した天体画像の鮮明さを改善することを確認しました。最終的には、スペインのテネリフェに設置されるESAの光地上局の補償光学システムでの使用を目指しています。

宇宙用途の補償光学は主に、地球の大気によって乱された光の波面を補正する目的で使用されます。宇宙から届く光はとても弱いので、少しでも無駄にしたくありません。そこで、地上から高強度のレーザで大気中に模擬的な点光源(ガイドスター)を生成し、そこから望遠鏡まで届く光の波面を解析することで、望遠鏡が向いている方向からの光の波面を取得します。この技術は、衛星と地上を光でつなぐ衛星光通信にも提供できるとのことです。

三次元画像処理システム市場,2025年は3914億円

三次元画像処理システム市場,2025年は3914億円 (オプトロニクス)。富士経済は、FA分野の三次元画像処理システムの世界市場を調査した。2020年の市場は縮小(2,370億円)したが、2021年に市場は回復し、2025年には3,914億円に達すると予測しました。ホットな領域は、5Gとの連携も期待され、市場の50%を占めるカメラとプロジェクタを組み合わせた構造化照明方式です。

FAを後押しする要因について、Wikipediaの説明は興味深いです[1]。曰く、現代のFAの目的は、①品質向上(人的エラーの削減)、②製造工程の柔軟性(少量多品種需要への対応)です。筆者としては②に注目していて、システムの柔軟性が高いということは、小さな投資から多くの効果を得られるように思うからです。これまでFAといえば大規模工場でロボットアームが動いているイメージでしたが、今後導入のハードルがさらに下がっていくでしょう。なお、FA向けの光学系としてニーズが高まっている、テレセントリック光学系について説明したページがありますので、物体側テレセントリック_Zemaxコミュニティ注目トピック (1) もご参照ください。

まとめ

このページでは、2021/8/30~9/3に発表された光学関連情報から、国内1件、海外2件を取り上げました。筆者の知識レベルで取り上げられるネタは制限されますが、これからも気になった情報をご紹介したいと思います。

<参考>

[1] Wikipedia, ファクトリーオートメーション

コメント

タイトルとURLをコピーしました