こんにちは。光学、光でのお困りごとがありましたか?
光ラーニングは、「光学」をテーマに様々な情報を発信する光源を目指しています。情報源はインターネットの公開情報と、筆者の多少の知識と経験です。このページでは、2021/9/27~10/1に発表された光学関連のニュースを取り上げ、OpticStudioとのつながりや、筆者の個人的なコメントを加えます。参考にしているページは、オプトロニクスオンライン、Optics.org、Laser Focus Worldなどです。
ピックアップ記事 6 本
Laser Focus World 2021 Innovators Awards を発表
Laser Focus World announces 2021 Innovators Awards (Laser Focus World)。Laser Focus Worldが毎年発表している光学業界で特に革新的な技術をたたえる企画で、今年は4年目です。プラチナ、ゴールド、シルバー、ブロンズの4段階があり、評価指標は、技術の革新性、設計者・ユーザへの影響力、市場ニーズへの適合性や生産性の向上などです。
プラチナレベルは、NED-LMD Waveguide Tester / Gamma Scientific (アメリカ)。ニアアイディスプレイの評価装置。近年のAR/VR技術の発展を象徴するような受賞でした。
ゴールドレベルから3つピックアップしました(上から順にですが)。ORPHEUS-MIR – Broad-Bandwidth Mid-IR Optical Parametric Amplifier / Light Conversion (リトアニア)。2.5~10umをカバーするレーザ光源。今年もUVとIR領域の動きは活発です。
BeamRazor Series – LE02 Module / Focuslight Technologies (中国)。LiDAR向けライン状ビーム光源。905nmで最大600Wを5nsecパルスで出射可能です。車載用途を筆頭に、LiDARの応用先はさらに広がりそうです。
AFX-1000 / nLight (アメリカ)。3Dプリンタ用光源で、ファイバー内の強度プロファイルをリアルタイムで調整します。最適なビームプロファイルが生成できるとは驚きです。走査系との組み合わせたときにも何かよいプロファイルがあるのでしょうか。
他にも多くの興味深い技術が表彰されているので、ぜひLaser Focus Worldのページを参照してください。プラチナのAR/VR、ゴールド以降のIR光源、LiDAR、3Dプリンタと、注目ワードを簡単に見つけることができます。
ソニー、UV対応813万画素CMOSセンサー開発
ソニー,UV対応813万画素CMOSセンサー開発(オプトロニクス)。ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社は、UV波長域に対応した有効約813万画素のCMOSイメージセンサー「IMX487」を産業機器向けに商品化しました。UV波長域の中でも産業用の検査などに適した200nm~400nmの波長に対応しており、半導体パターン欠陥検査以外にも多くのアプリケーションが想定されています。
ソニーセミコンダクタソリューションズから発表される、CMOSセンサ関連のニュースをよく取り上げているような気がします。イベントベース方式の画像センサ や、LiDAR向けSPAD距離センサ などです。既存のデバイスで取得した画像からソフトウェアの力(機械学習など)で情報を引き出す方向と、デバイス自体が観測対象に特化して情報を直接取り出す方向があります。では、それらの力を最大化する光学設計もあるのでしょうか?デバイスや信号処理の特性を、どの程度光学系設計に取り込むかは興味深いポイントです。
北陽電機,LiDARスタートアップと協業
北陽電機、LiDARスタートアップと協業(オプトロニクス)。北陽電機は、米スタートアップのSiLCと、次世代の高度な産業用およびロボット用LiDARソリューションを開発するための戦略的協力関係を共同で発表しました。SiLCのLiDARはFMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)技術をベースにしており、シリコンフォトニクス技術により光学系を小型化可能です。
産業用途の要求に対応してきた北陽電機の経験は、新しい光学技術の市場導入を強力にサポートすると思われます。LiDARの方式が変わると光学設計もチューニングが必要になります。シミュレーションの段階で信号処理まで考慮するのが当たり前の時代はもうすぐかも。Zemaxの技術記事に、How to create a Time-Of-Flight User Analysis using ZOS-API があったので参考になるかもしれません。
パナソニックのHUD,トヨタの新型「アクア」に採用
パナのHUD,トヨタの新型「アクア」に採用(オプトロニクス)。パナソニック株式会社オートモーティブ社は、同社のHUD(Head Up Display)が,トヨタ自動車の新型「アクア」(2021年7月19日発表)に採用されたと発表しました。
自由曲面ミラーで、ウィンドウシールドの形状も考慮して高画質の映像を提供しています。車載用HUDはどうしても車種ごとに開発する必要があります。そのため、高コストになりがちで搭載できる車種は上位クラスになってくると思っていましたが、比較的大衆車としての印象のあるアクアに採用されたとあって、ARの一般化も進んできたように感じました。パナソニックのHUDが採用されるニュースはよく見られ、2021年には 三菱自動車の「アウトランダー」への採用(オプトロニクス)、日産自動車の「Rogue」への採用(オプトロニクス) などがあります。今は自由曲面など幾何光学が中心のようですが、”AR/VRといえば”の回折光学系への進化の動向にも注目したいです。
コーニングのHUD用車載ガラス,現代が採用
コーニングのHUD用車載ガラス,現代が採用(オプトロニクス)。米コーニングインコーポレイティッドは、車載用ガラスソリューションの新しいカテゴリである「Corning Curved Mirror Solutions」を発表しました。この製品は、韓国現代自動車傘下の自動車部品メーカー、現代モービスの新しい拡張現実ヘッドアップディスプレー(AU HUD)システムの主要コンポーネントとして採用されました。
HUDつながりで、こちらはHUD特化のガラスに関するニュースです。なぜこのガラスを使うと従来技術と比較して5倍の東映距離を実現できるか、ニュースをざっと眺めただけではよくわかりませんでした。ただ、対環境性や麺制度などに関する信頼性が高く、大面積のガラスを採用することによって、光学設計の選択肢を大きく広げたものになりそうです。コーニングのソリューション紹介ページ を参照してください。
Nrealの新ARグラス、「iPhone」などにも対応
Nrealの新ARグラス、KDDIとNTTドコモが販売–「iPhone」などにも対応(CNET Japan)。Nrealは10月1日、新型ARグラス「Nreal Air(エンリアル エアー)」を発表しました。電気通信事業者と提携して12月以降、日本、中国、韓国を含むアジアの3つの主要市場を対象に販売します。
シースルー構造のため、装着時も常に周囲の状況を確認可能で、いわゆるスマートグラスと呼ばれるカテゴリです。映像信号を送るための太いケーブルが必要で、多くのアタッチメントの取り付けが必要など、使い勝手の意味だとまだまだ改善の余地はありそうです。それでも、こういった新しいデバイスが出てくるのはワクワクします。
まとめ
このページでは、2021/9/27~10/1に発表された光学関連情報から、国内3件、海外3件を取り上げました。筆者の知識レベルで取り上げられるネタは制限されますが、これからも気になった情報をご紹介したいと思います。
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