[35] 光学ニュースピックアップ (2021/10/11~10/15)

光学ニュースピックアップ

こんにちは。光学、光でのお困りごとがありましたか?

光ラーニングは、「光学」をテーマに様々な情報を発信する光源を目指しています。情報源はインターネットの公開情報と、筆者の多少の知識と経験です。このページでは、2021/10/11~10/15に発表された光学関連のニュースを取り上げ、OpticStudioとのつながりや、筆者の個人的なコメントを加えます。参考にしているページは、オプトロニクスオンライン、Optics.org、Laser Focus Worldなどです。

ピックアップ記事 8 本

ソニーコンピュータサイエンス研究所ら、ISSと地上局で光ダウンリンク確立

ソニーCSLら,ISSと地上局で光ダウンリンク確立(オプトロニクス)。ソニーコンピュータサイエンス研究所(ソニーCSL)とノルウェーの衛星関連サービス会社、コングスベルグ・サテライト・サービシズ(KSAT)は、国際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」日本実験棟に設置した小型光通信実験装置「SOLISS」(Small Optical Link for International Space Station)と,ギリシャに設置された世界初の商用光地上局までの光ダウンリンク確立に成功しました。

宇宙から地上へのレーザ光を用いた光空間通信の実証実験の結果です。地球観測衛星の高性能化に伴って、膨大な宇宙での観測データをタイムリーに地上へ伝送する技術が求められていました。光通信部には、ソニーグループ株式会社(旧ソニー本社)が培ってきた光ディスク技術が使用されています。レーザ光小型衛星から地上局へ送信する、もしくは宇宙空間で衛星間で光通信をする場合、レーザの指向性の高さから高精度なビーム制御が求められます。この制御技術に光ディスクの技術が活用されているのかもしれません。地上局のKSATのコンセプトも面白いと思います。光地上局が地球上に分散して設置され、それらがネットワークを構築している場合、ある地点Aの観測結果を、別の地点Bにある光地上局に伝送できます。もしくは、多数の衛星が連携するシステムを構築していれば、「衛星間の通信 + 地上局間の通信」の組み合わせによって、本格的なリアルタイム衛星光ネットワークが実現できそうです。

日亜化学工業、280nm深紫外LEDの量産開始

日亜,280nm深紫外LEDの量産開始(オプトロニクス)。日亜化学工業は、深紫外LED(ピーク波長280nm)の新製品「NC4U334BR」の量産を2021年10月から開始しました。この製品は、1パッケージあたりの出力が深紫外LEDとしては業界最高クラスの200mWの放射束を実現しています。

光ラーニングのピックアップニュースでもおなじみの紫外域光源のニュースです。日亜化学工業はこのトピックで大きな存在感を示しています。以前のニュース(光学ニュースピックアップ (2021/9/20~9/24))でも触れた280nm LEDの量産のニュースです。製品のスペックシート を確認したところ、発光スペクトル、指向特性(ファーフィールド)に加えて、外形寸法には発光エリア(ニアフィールド)と思われる線(実際には写真で見えている部分が発光エリア?)が見受けられました。温度特性の試験も、-40度から100度の範囲で実施されており、広範囲のアプリケーションでの使用に耐える光源であると推測されます。他社も含めて、紫外のLEDは265nmから400nmまで様々な波長域のモデルが展開されています。今後も、多くの製品がリリースされるものと期待します。OpticStudioに限らず、光線データがあるとアプリケーション設計には有益なのですが、各社の対応はいかがでしょうか。

ams OSRAM、超小型環境(紫外)光センサーを発表

ams OSRAM,超小型環境光センサーを発表(オプトロニクス)。ams OSRAMの日本法人オスラムオプトセミコンダクターズ ジャパンは、独自のUV-A光検出機能を備えた環境光センサー「TSL2585」を発表しました。フォトダイオードの各画素に正確に配置された同社の高度な干渉フィルタを使用して、315nm~400nmのUVAチャンネル、人間の目が反応するPhotopicチャンネル、赤外線チャンネルを作り出しています。

光源のニュースが多かった紫外域に、受光センサのニュースがリリースされました。「日焼け防止」といったアプリケーションに目が行ってしまうところ、光干渉フィルタによるバンドパス技術にも興味がわきます。OSRAMのホームページにアクセスしてみましたが、(2021/10/17時点で)技術資料にはアクセスできませんでした。

Zeiss、Capture 3Dの買収でさらに拡大

Zeiss grows scanning footprint with Capture 3D deal (optics.org)。Zeiss がカルフォルニアの Capture 3D の買収を完了したと発表しました。Capture 3D は、産業用途の 3D スキャニング装置を開発しています。その中でも、ATOS はキーパートナーである GOM (Zeiss が2019に買収)と共同開発しています。

ATOSについては、GOMホームページ丸紅情報システムズのこちらのページ を参照してください。「ATOSは構造化ブルーライトを使用した工業用非接触3Dスキャナ」とあります。同ページでみられる動画には、高速で切り替えられる青色の照射パターンが確認できます。これをステレオカメラで撮影して、検査対象の実形状を非接触で測定します。同シリーズには光源としてLEDを用いたもの、レーザ光源を用いたものがあります。どのようにパターン投射を高速で切り替えているか、明確な技術紹介は含まれていませんが、技術的にはDLPプロジェクタが近いと思いました。投射系、撮像系、さらには信号処理系まで総合力が問われる製品となります。ファクトリオートメーションが進む中で、マシンビジョンシステムの進化にも注目です。

AR/VR 関連情報

Facebook, Ego4D

Facebook、AI研究プロジェクト「Ego4D」–ARメガネに1人称視点の動画を活用へ (CNET Japan)。「Ego4D」= Egocentric Live 4D Perception。Facebookが750人の協力を得て1人称支店の膨大な動画を撮影し、11月以降にこのデータにアクセスを申請できるようになります。スマートグラスを装着した人に何を見せるのが良いかを探求する取り組みのようです。

Facebook , AR試作機

Facebookのメタバース用ヘッドセットのプロトタイプをCEOと次期CTOが披露 (Excite ニュース)。CEOのマーク・ザッカーバーグ氏、次期CTOのアンドリュー・ボスワース氏が Facebook Reality Labsが開発中の“網膜級”解像度のヘッドセットを装着した画像をFacebookに投稿しました。先日、AR機能のないスマートグラスを発表したニュースを取り上げましたが、やはりFacebookの動向は気になるところです。

HTC, VIVE Flow

HTC、コンパクトで軽量なVRメガネ「VIVE Flow」を499ドルで予約開始 (IT Media)。特徴は度数の調整機能で、調整範囲に入っていればメガネ不要で使用できます。長時間使用で群れないように冷却システムもあって、かなり使い心地に配慮したモデルと言えそうです。アプリケーションは多くないようですが、今後の進化に期待できます。

Magic Leap, Magic Leap 2

ARグラス「Magic Leap 2」、2022年の一般提供目指す (CNET Japan)。Magic Leapは、新型ARヘッドセット「Magic Leap 2」の外観を発表しました。技術的なトピックが公開されるのを心待ちにしたいところです。さらに、Magic Leapは約5億ドルの調達を発表しており、財務基盤強化によるMagic Leap 2の展開と、ARソリューションの提供に注力するようです。コンシューマはもちろんのこと、エンタープライズ向けサービスにも注力するとのことで、やはりアプリケーションがネックなのでしょうか。

まとめ

このページでは、2021/10/11~10/15に発表された光学関連情報から、国内2件、海外6件を取り上げました。筆者の知識レベルで取り上げられるネタは制限されますが、これからも気になった情報をご紹介したいと思います。

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