こんにちは。光学、光でのお困りごとがありましたか?
光ラーニングは、「光学」をテーマに様々な情報を発信する光源を目指しています。情報源はインターネットの公開情報と、筆者の多少の知識と経験です。このページでは、2021/9/20~9/24に発表された光学関連のニュースを取り上げ、OpticStudioとのつながりや、筆者の個人的なコメントを加えます。参考にしているページは、オプトロニクスオンライン、Optics.org、Laser Focus Worldなどです。
ピックアップ記事 5 本
OSA,「Optica」へ改名
OSA,「Optica」へ改名(オプトロニクス)。米国光学会(OSA)は、2021年9月20日に学会の名称を「Optica」に変更すると発表しました。「Optica」は、高い評価を得ている同学会の雑誌としてすでによく知られていること、地理的に中立であること、多くの言語に翻訳されていることなど、様々な主要条件を満たしていることから採用されました。
光学エンジニアの皆様にはおなじみの旧OSA (The Optical Society)、非常に幅広い技術領域をカバーしており、技術情報を検索すると何かしらにヒットする印象があります。同時に発表されたキャッチフレーズ「The Society advancing optics and photonics worldwide」も、とても好感が持てました。技術や理論の深堀のような縦方向の発展、他分野との連携のような横方向の発展、その両方を促進するプラットフォームになっていくことを期待しています。
日亜,深紫外LEDでアルファ株の不活化を確認
日亜,深紫外LEDでアルファ株の不活化を確認(オプトロニクス)。日亜化学工業は、深紫外LED(ピーク波長280nm)の新製品「NCSU434B」の量産を、2021年9月から開始しました。この製品を用い、日立造船と長崎大学が、マイクロ飛沫状の新型コロナウイルス(アルファ株,英国型変異株)の不活化実験を実施した結果、マイクロ飛沫状の新型コロナウイルスに有効だと言えるとしています。※コロナ関連の情報はソースの確認をお願いします。
今週も発表された深紫外光源(主にLED)に関するニュースです。光ラーニングでも、スタンレー電気のニュース、エーシックのニュース を取り上げました。仮に現在のコロナウィルスの流行が収束したとしても、ウィルス対策への意識の高まりは今後も継続され、「意識してとる行動」から「無意識に生活リズムに浸透したシステム」に変容していくと思います。今回量産されるLEDは、日立造船の空間除菌機「ACSTERIA」にも採用されており、今後も採用先は増えそうです。製品のスペックシート を確認しました。波長分布と発散角度の分布(遠視野)は確認できましたが、発光エリアの照度分布(近視野)は記載されていないようです。この光源をOpticStudioで疑似的に再現するには、少し情報が不足していますが、近視野は遠距離・広範囲の照明では重要ではないかもしれません。
Qioptiq Photonicsが半導体機器の生産キャパシティを拡大
Qioptiq Photonics expands optics capacity for semiconductor equipment (optics.org)。Qioptiq Photonicsは、ドイツに新しい4.5エーカー(約18210m2 [1], 東京ドームだと0.4個 [2])の設備を正式に開設しました。これにより、複雑な光学およびオプトメカシステムの生産を拡大することができます。この拡張は、親会社であるExcelitas Technologiesからの投資によるものです。Excelitasは最近、ドイツのケルハイムに拠点を置くカメラメーカーPCOの買収を完了しており、生物医学および産業用イメージングアプリケーション向けの高性能科学CMOSカメラ技術をポートフォリオに追加しています。
今週も発表された、半導体業界の活況を知らせるニュースです。買収や合併のニュースも引き続き見受けられます。
ペタワットレーザの取り回しに使用される軸外し放物面ミラー
Off-axis parabolic mirrors have use in petawatt laser beamlines (Laser Focus World)。プラズマ物理、陽子線治療向けの使用が想定される、ペタワット級レーザを集光する光学系には、軸外しミラーが適しています(Optical Surfaces社の広告記事のようです)。
ペタワットというパワーワードはいったん横において、レーザの出力が上がるほどに、レンズやプリズムといった透過系では対応が難しくなります。光学部品の内部吸収率が極めて低くても、入射するおおもとのエネルギーが大きければ、ひとたまりもありません。そこで、反射系の採用となります。内部吸収はありませんが、反射コーティングの精度、クリアランスの確保、アライメントの精度(反射系と透過系では、反射系の方が高いアライメント精度が必要)といった反射系ならではの課題が多く生まれます。
OpticStudio 21.3 リリース、新機能レビュー で紹介した機能として、軸外しのミラーオブジェクトが追加されていました。レーザ光源の高出力化に伴って、ソフトウェア側にも軸外しミラーを「簡単に」設定できる機能が求めらているのかもしれません。
Facebook VR/AR責任者Andrew Bosworth氏を新CTOに
A Note From Mark Zuckerberg (Facebook)。CNET Japanのこちらの記事も参照。FacebookはCTOのMike Schroepfer氏が来年のいずれかの時点で退任し、仮想現実(VR)/(拡張現実(AR)製品担当のAndrew Bosworth氏がCTOに就任することを発表しました。
CNETのこちらの記事 には、Facebookが最近リリースしたスマートグラス(カメラ内蔵サングラス)の使用レビューが記載されていました。最後に触れられていたFacebookのAR/VR戦略の展望と今回のCTO交代のニュースは、FacebookでのAR/VRの発展を期待させるものとなりました。近い将来のAR/VRデバイスはどのような技術を使っているのか、その技術はOpticStudioのような幾何光学ベースのソフトウェアで取り扱るものなのか、専用のソフトウェア(内製の開発プラットフォーム)が必要なレベルなのか、興味が尽きません。最近はFacebookのトピックが多いですが、Apple、Google、Microsoftの動向も見逃せません。
まとめ
このページでは、2021/9/20~9/24に発表された光学関連情報から、国内1件、海外4件を取り上げました。筆者の知識レベルで取り上げられるネタは制限されますが、これからも気になった情報をご紹介したいと思います。
<参考>
[1] 単位換算, https://www.metric-conversions.org/ja/area/acres-to-square-meters.htm
[2] 東京ドーム換算, https://keisan.casio.jp/exec/user/1620525795
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