こんにちは。光学、光でのお困りごとがありましたか?
光ラーニングは、「光学」をテーマに様々な情報を発信する光源を目指しています。情報源はインターネットの公開情報と、筆者の多少の知識と経験です。 このページでは、光学を始めたときに必ず見聞きする、「結像光学系」について説明します。
結論
- 結像光学系は、点光源を点像に変換することを目指した光学系です。
- 集光系でなくても結像光学系と言えます。例えばコリメート系も結像系の一種です。
このページの使い方
このページで参考にした技術記事(ナレッジベース)は、OpticStudioのシーケンシャルモードについて で、2番目の記事になります。1番目の記事は、幾何光学とシーケンシャル_OpticStudioのシーケンシャルモードについて (1) になります。3番目の記事は、ウィンドウの固定と浮動_OpticStudioのシーケンシャルモードについて (3) になります。
この記事は、OpticStudioのシーケンシャルモードで光学系を設定する方法や、結像光学系の基礎について記載されています。 すでに光学に関する業務に携わっている人にも、これから光学を学習する人にも、参考になる内容が含まれています。このページでは、ナレッジベースで使われている光学用語、技術用語、前提知識について、もう一歩踏み込んだ説明を加えていきます。
基礎的な光学用語に関する注釈
このページは、Introductionの段落を参照しています。 記事の中で使用されている用語について、説明を加えています。「なんとなく意味は分かるけど、他の人に説明するのは難しい」という状況から、「細かいところは置いといて、要するにこういうことだよ」という状況を目指しています。
結像光学系 (Imaging Optics/ Imaging Optical System)
結像光学系の意味
OpticStudioのシーケンシャルモードが主に取り扱うのが、結像光学系、と呼ばれる光学系です。「結像」とは、像を結ぶ (むすぶ) という意味で、狭義では「観察対象から出射している光を取り込んで、別の位置で観察対象の像を形成する」ことを言います。理科の教科書で出てくる、真ん中に凸レンズが置いてあって、左側の矢印 (ろうそく、鉛筆) から出てくる光線がレンズで屈折して、右側でひっくり返った状態の矢印に到達している状態です。あの図は、まさに結像を示しています。
ただOpticStudioが取り扱うでは、結像光学系のとらえ方はもう少し大きいです。
「点光源を点像に変換することを目指した光学系」[1]
ここで、「点」という言葉には少し注意が必要です。点光源といえば、発光面積がゼロの光源で、そこから光が放射状に広がっている状態を想像します。教科書の矢印は、点光源の集合体と考えられます。では、物体が無限遠 (めちゃくちゃ遠く) にある場合はどうでしょう。
光学系に入ってくる光を、有限の直径を持った筒のように表現する図を見たことがあると思います (図 3-2 の上)。よくある誤解として、「この光は有限の発光面積を有している=点光源ではない。」と考えることがあります。しかし、この光線を出している光源の発光面積はゼロで、教科書で書かれた矢印の1点と同じです (図 3-2 の下)。確かに、光学系に入るときには有限の面積を持っていますが、もともとの発光面積はゼロの点光源で、図 3-1 と図 3-2 で描画されている光線の光源は、本質的に同じものです。
光学系に入ってくる光を平行光のように表現してよいのであれば、光学系から出ていく光を平行光のように表現してもよいです。これはコリメータと呼ばれる、発散光を平行光に変換する光学系になります。つまり、光学系の最終面で光線が集まっていない状態であっても結像光学系とみなせる、ということです。この、光が平行光として出射する光学系も結像系と同じように扱える、という考え方は、「角度空間」という概念が出てきたときに回収されるはずですので、またの機会で説明します (ノンシーケンシャルの特技_OpticStudioのノンシーケンシャルモードについて (4-fin) で少し触れています。)。
コリメータ系について、アフォーカル像空間ってなに?_HUD (Head Up Display) (4) も参照してください。
少し長くなりましたが、結像光学系に関する注釈をまとめます。
① 結像光学系は、点光源を点像に変換することを目指した光学系。
② 無限遠から光学系に到達している光の筒も、発光面積ゼロの点光源を表現している。
③ 光学系から出ていく光が平行光であっても、集光している場合と同じく結像光学系として扱える。
結像系ではない光学系の例
光技術が用いられる産業には、結像系ではない光学系も多く存在します。明確な区分はありませんが、少なくともOpticStudioが明確に分けているのは、ノンシーケンシャルモードで取り扱う「照明光学系」、シーケンシャルモードの範疇であるが、幾何光学的な点光源ではなく、有限の発光面積を取り扱う「レーザ光学系」があります。他にも、幾何光学では取り扱ない光学現象を取り扱う広大な世界が広がっていて、むしろ光業界としては幾何光学の外側の技術の方がホットかも。筆者は安易に足を踏み入れることができません。ただ、それらの技術も幾何光学に取り込まれることで、活躍の場が飛躍的に伸びると考えています。
まとめ
ここでは、Zemaxのホームページからアクセスできる公開記事、OpticStudioのシーケンシャルモードについて から、Introdutionに登場する「結像光学系」を取り上げ、注釈とOpticStudioでの扱い方、最後にそれ以外の光学系について、説明しました。
次回から、「OpticStudioのGUI (グラフィカルユーザインターフェイス)」について、説明を加えたいと思います。残念ながら、手元に自由に使えるライセンスがないので、何らかの方法で有益な情報を提供できればと思います。
<参考>
[1] 例えば、ウシオ電機株式会社、光技術用語解説より
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