[6] ZDAと解析機能_OpticStudioのシーケンシャルモードについて (5 fin)

OpticStudio

こんにちは。光学、光でのお困りごとがありましたか?

光ラーニングは、「光学」をテーマに様々な情報を発信する光源を目指しています。情報源はインターネットの公開情報と、筆者の多少の知識と経験です。 このページでは、OpticStudioを使い始めた時に必ず持つ疑問の種、「ZDAファイル」と「解析機能で意識すべき点」について説明します。

結論

  • ZDAファイルは、ZDAファイルには保存時に開いていたエディタや解析ウィンドウの位置とサイズ、そして解析結果のデータが保存されています。.ZMX、.ZOSファイルのペアとして生成されます。
  • 解析機能を使うときは、結果を確認するより前に、計算の条件設定を確認するようにしましょう。

このページの使い方

このページで参考にした技術記事(ナレッジベース)は、OpticStudioのシーケンシャルモードについて で、最後の5番目の記事になります。1番目の記事 (幾何光学とは?シーケンシャルとは?)、2番目の記事 (結像光学系とは?)、3番目の記事 (ウィンドウの固定表示と浮動表示) 、 4番目の記事 (ローカル座標とグローバル座標) もよろしければどうぞ。

この記事は、OpticStudioのシーケンシャルモードで光学系を設定する方法や、結像光学系の基礎について記載されています。 すでに光学に関する業務に携わっている人にも、これから光学を学習する人にも、参考になる内容が含まれています。このページでは、ナレッジベースで使われている光学用語、技術用語、前提知識について、もう一歩踏み込んだ説明を加えていきます。

セッションファイル (ZDAファイル) に関する注釈

このページは、レイアウトウィンドウの段落を参照しています。レイアウトウィンドウや解析ウィンドウは、現在設計している光学系の形状を確認したり、光学性能を確認したりするために、設計中は常に確認することになります。解析データの扱われ方や、解析ウィンドウの共通の使い方を知っていると、OpticStudioの操作が効率的になります。

セッションファイル ***.ZDA (Session File)

OpticStudioでは、たくさんの種類のファイル拡張子が使われます。最も重要なファイルは、光学設計やメリットファンクションなどエディタのデータを格納した .ZMXファイルですが、同じフォルダに自動的に生成される .ZDAファイルや .CFG (ユーザが自分で作成します。)は一体何か、気になったことはありませんか?

(OpticStudioの設計ファイルのデフォルトが、.ZMXファイルから.ZOSファイルになりました。.ZOSファイルについては、.ZOS ってなに?_Zemaxコミュニティ注目トピック (4) を参照してください。)

この疑問に対しては、以下のナレッジベースがずばり答えてくれています。今は英語のみのようですが、日本語版が出てきたり、日本語の関連情報も随時増えていくものと期待しています。
・ What are the .ZDA and .CFG Files?
・ Zemax file extensions

要約すると、ZDAファイルには保存時に開いていたエディタや解析ウィンドウの位置とサイズ、そして解析結果のデータが保存されている、とあります。つまり、光学設計そのものに関する情報は含まれておらず、ZDAファイルの役目は、「前回見ていたOpticStudioの画面の状態で立ち上げる」ことです。言い換えると、光学設計データを共有するだけであれば、.ZMXファイルのみを送れば、他のOpticStudioユーザはファイルを開くことができます。ただ、ZDAファイルがない場合は、自動で開かれるウィンドウはレンズデータエディタだけになります。

シーケンシャルモード解析機能に関するコメント

この技術記事の「レイアウトウィンドウ」より下のチャプターでは、シーケンシャルモードでよく使う、光学特性を解析するための機能が列挙されています。各機能の詳細については、それらを詳細に扱ったナレッジベースの記事を取り上げたときに説明を加えていきます。ここからは、解析機能を使用するうえで有用な共有機能と、解析機能を使用する場合の心構えについて説明します。

まず「設定」を開いてみよう

ほぼすべての解析ウィンドウの左上には、「設定」ボタンがついていて、これをクリックすると解析画面で表示される結果を生成する条件が設定できます。解析ウィンドウを開いたときは、出力された結果の考察を始める前に、必ず「設定」画面で条件を確認することを強く推奨します。

例えばスポットダイアグラムだと、光線数のパラメータがどうなっているか。光線数を増やして結果は変わらないか?波長の設定は適切か?よく分かっていない機能にチェックが入っていないか?などがチェック項目になります。いろいろと触ってみるのが一番理解を助けてくれると信じています。

OpticStudioに限らずシミュレーションソフトは、正しい結果を教えてくれるツールではなく、私たちが設定した条件での計算結果を表示してくれるツールです。計算結果が正しいかどうかは、私たちが判断します。計算結果の確かさは、私たちが「設定」を妥当な条件を指定しているかにかかっています。

とはいっても、アルゴリズムをすべて理解するのは大変だし、OpticStudio内部で行われる計算処理の詳細は私たちにはブラックボックスだし、ソフトウェアは常にバグのリスクがあるし、という不確かさと付き合い続ける覚悟が必要になります。Zemaxのサポートや、フォーラム、参考文献の力を借りながら、光学への理解を深めていければと思っています。

図 6-1 スポットダイアグラムの設定画面。14個の項目によって出力される結果が変わる。妥当な設定は私たちに委ねられている。

「アクティブカーソル」は便利だけど目安で使おう

解析ウィンドウの中には、グラフ上にカーソルを置くと座標をリアルタイムで表示してくれる「アクティブカーソル」という機能に対応しています。この機能は、目分量での判断や、テキスト形式の結果の確認をしなくても、小数点以下の結果を簡単に確認できてとても便利です。

ただ、その数値を過信しすぎるのはお勧めしません。ウィンドウを表示しているディスプレイの解像度やズーム状態によって、ぴったりとプロットの上にカーソルを合わせているつもりでも表示される結果には誤差が含まれます。ですので、あくまでも大まかな数値を判断するまでにとどめて、詳細な解析はテキストタブに格納されている解析結果の生データを使用しましょう。

図 6-2 アクティブカーソルの表示例。対応していない機能もある。分解能はディスプレイの解像度で決まる。

複数のアルゴリズムの結果を比較してみよう

シーケンシャルモードの解析機能には、同じような結果を出力するために、複数のアルゴリズムが用意されている機能がいくつかあります。代表的なのはMTFです。アルゴリズムには、幾何光学、FFT (高速フーリエ変換)、ホイヘンスの3種類があります。ファイバカップリングにはシングルモードファイバ結合と物理光学伝搬、といった具合です。

どの解析機能を用いればよいのか、常に迷っていします。残念ながら、これについても明確な答えはなく、「設定」と同じことが言えます。OpticStudioは、どの機能を使えばよいか、どの機能の結果が現実に近い結果を出力するかは教えてくれません。私たちがアルゴリズムごとの前提条件や制約条件を理解して、最終的なアプリケーションに適した機能を選択する必要があります。

迷ったときは、まず複数のアルゴリズムの結果を出力して、比較してみるのがよいでしょう。明確な差分が出た場合は、近似の少ない (前提や制約の少ない) アルゴリズムの方が確からしい結果と考えられます。例えば、回折限界に近い光学系であれば、幾何光学よりFFT、FFTよりホイヘンスの結果がより制約が少ない結果になります。逆に、違いが見られないのであれば、近似の強いアルゴリズムを使用する方が有利になります。幾何光学は、計算速度が最も早く、計算条件に対する頑強性も高いためです。

シーケンシャルモードでも簡単な照明解析ができる

シーケンシャルモードは主に結像光学系に強く、照明設計はノンシーケンシャルモードを使用する、という説明をこちらの記事でしました。ただ、OpticStudioのシーケンシャルモードには簡単な照明設計を行う機能があります。これが、ナレッジベースの記事で紹介されている「拡張光源解析」です。

一般的にシーケンシャルモードは点光源からの光線を追跡しますが、これらの機能は、有限の発光面積を持った光源を設定可能です。ノンシーケンシャルモードと比較して、シーケンシャルモードは高速な光線追跡が可能ですし、結像系の評価と照明系の評価が同時にできるのは作業効率の面で大きなメリットがあります。ただ、光線の角度分布の選択肢が少ないことや、散乱の取り扱いには強い制約があるため、詳細な解析にはノンシーケンシャルモードが必要になります。

「シーケンシャルモードでも照明解析ができる」。これを知っているだけでも、今後のOpticStudioライフを快適にできるかもしれません。

図 6-3 幾何光学的像解析。グリッドのソース画像の結像結果を確認できる。照度ムラも確認できる優れもの。

まとめ

ここでは、Zemaxのホームページからアクセスできる公開記事、OpticStudioのシーケンシャルモードについて から、OpticStudioの解析機能に関連する、ZDAファイルの概要と、解析機能を使う上での心構えについて説明しました。後半には、筆者個人の主観も大いに含まれていますので、あくまでOpticStudioに対する一意見としてお考えください。

今回で、OpticStudioのシーケンシャルモードについて、に関する注釈は終わりです。次のナレッジベースの記事は OpticStudioのノンシーケンシャルモードについて です。他にも、皆様にとって有益な情報を発信していきたいと思います。

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